**2026-10-04*7

ここまでの内容は、著者が自身の人生とキャリアを振り返りながら、「機会を生かす姿勢」と「優れた人から学び続けること」の重要性を語ったものです。

著者は、幸運を単なる偶然ではなく、自分の能力と機会が出会ったときに、その機会を最大限に活用することだと捉えています。ハイチ移民の子として生まれ、奨学金で大学に進み、その後さまざまな仕事や上司、成功と失敗を経験してきました。Nintendo of Americaの社長まで務めることができたのも、運任せではなく、新しい経験に飛び込み、強い好奇心を持って学び続けた結果だと述べています。

著者が重視しているのは、単に知識を蓄えることではありません。幅広く質問し、さまざまなことを知り、その知識をリーダーとして、また既存のやり方を変える「破壊者」として活用することです。それによって、一見解決不可能に思える問題にも新しい解決策を見つけ、他人には見えにくい可能性を見いだし、型破りな道を選ぶことができたとしています。

そうした経験から得た教訓を著者は自分なりに整理し、重要な判断をするときの土台にしてきました。本書では、それらを「要するにそれってどういう意味で、なぜ大事なのか」という形で示し、読者にも自分の人生やキャリアに応用してほしいとしています。

本の終盤で著者は、とくに二つのメッセージを残しています。

  1. キャリアの中で出会う優れた人たちから学ぶこと。
  2. 一度「破壊者」になったなら、その姿勢を持ち続けること。

一つ目の具体例として語られるのが、任天堂でともに働いた人々との関係です。

岩田氏との関係では、意見がぶつかることもありましたが、それは例外的で、実際には互いのアイデアを出し合いながら発展させていくことの方が多かったと振り返っています。岩田氏は早い段階から自分の考えを共有し、著者の意見を取り入れ、会議でもその考えを評価しました。著者にとって、岩田氏を支えながら任天堂の世界的な成果に関わることができたのは大きな誇りでした。

宮本茂氏からは、創造性とは日常のあらゆるものに好奇心を向けることから生まれるという姿勢を学んでいます。

宮本氏は会議中にもメモやスケッチを取り、「新しいアイデアがないか、いつも考えている」と語っていました。その特徴を象徴する出来事として、ニューヨークのステーキハウスでのエピソードが紹介されています。

店の天井に多数の古いパイプが並んでいることに宮本氏が気づき、その由来を尋ねました。簡単な説明だけでは満足せず、ウェイター、マネージャー、さらにシニアマネージャーへと話を聞き、パイプクラブの歴史や著名な会員について詳しく知ろうとします。その間、宮本氏は楽しそうに話を聞きながら天井を眺めていました。

著者はその様子から、宮本氏が目の前の何気ないものから新しいゲームのアイデアを生み出している可能性を感じます。この経験を通じて、岩田氏と宮本氏という非常に創造的で革新的な人物と仕事をし、そこから学べたことを自身の大きな幸運として振り返っています。

要するに、ここまでで一貫しているのは、好奇心を持って学び、優れた人から吸収し、得た知識を実際の行動や変革に結びつけること。そして機会が現れたとき、それを自分からつかみにいくことがキャリアを形作る、という考えです。