目次
- はじめに
- 第0章 自律神経について基本を押さえる
- 第1章 自律神経とは何か
- 第2章 涙や唾液と自律神経
- 瞳を見れば自律神経の活動がわかる
- 第3章 汗やホルモンと自律神経
- 皮膚への刺激で自律神経の活動が変わる
- 第4章 ストレスと自律神経
- 「戦うか逃げるか」私たちを守るメカニズム
- 第5章 喜怒哀楽と自律神経
- 怒りや恐怖で心拍や体温が変わるわけ
- 第6章 内臓の情報を伝える自律神経
- 新たに見つかった「第3の自律神経」とは
- 第7章 自律神経から考える心身を整える方法
- 不調の原因を探ってみる
- 終わりに
- 参考文献
要約
本書は、体調不良や気分の落ち込みと関連づけて語られることの多い自律神経とは、そもそも何なのかを、生理学の立場から基礎的に解説する本である。
私たちは、病気と呼ぶほどではなくても、だるさや体調の悪さ、落ち着かなさなどを日常的に経験する。その原因として「自律神経の乱れ」という言葉が使われることは多いが、交感神経や副交感神経が具体的にどのような働きをしているのかまで理解している人は多くない。
自律神経は、ごく簡単にいえば内臓の働きを調節し、体内環境を安定させる神経系である。この体内環境を一定に保とうとする仕組みを「ホメオスタシス」という。
ホメオスタシスの考えを発展させた生理学者ウォルター・キャノンは、身体には自らバランスを維持する「体の知恵」が備わっていると考えた。本書では、この「体の知恵」を支える仕組みとして自律神経系を捉えている。
自律神経は、一般によく知られている交感神経と副交感神経だけではなく、内臓から情報を脳へ伝える内臓求心性線維や、消化管を独自に調節する腸管神経系まで含めて考える必要がある。
本書では、こうした自律神経研究の歴史をたどりながら、涙や唾液、瞳孔、汗、ホルモン、皮膚刺激、ストレス、感情、心拍、体温、内臓感覚などを通して、自律神経が身体をどのように調整しているのかを説明していく。
著者は生理学者であり、医学部で行ってきた自律神経系の講義をもとに本書を構成している。解剖学が身体の「構造」を扱うのに対し、生理学は身体の「働き」を扱う。病気を理解するためには、まず正常な身体がどのように働いているのかを知る必要があるという立場から、自律神経について体系的に理解することを目指している。
最終的には、自律神経の仕組みを知ることで、私たちが感じる心身の不調を単に「自律神経の乱れ」と曖昧に片づけるのではなく、身体のどの調節機構がどのように働いているのかを考えられるようになることが、本書の狙いである。