2026-10-07
『大人のADHDのための段取り力』は、ADHDによって日常生活や仕事、家事がうまく回らない人に向けて、生活を改善するための具体的な方法を「段取り力」として提示する本です。
ADHDは、不注意や落ち着きのなさなどによって、仕事や生活の中で思わぬミスや混乱を招きやすい特徴があります。たとえば、単純に書類へ判子を押すだけでも、必要な道具が見つからず作業が止まってしまうことがあります。知識や能力があっても、必要なときに必要な情報や行動をうまく引き出せないことが問題になります。
特に家事は、複数の作業を同時並行で進める必要があり、仕事や子育てまで加わると負担が非常に大きくなります。その一方で、家事は評価や報酬につながりにくいため、モチベーションを維持しにくい面もあります。
著者は主に女性のADHD患者を診療する中で、本人たちが非常に努力しているにもかかわらず、うまくいかない経験から自分を低く評価してしまうケースを多く見てきました。しかし、ADHDの人にも長所は多くあり、自分を否定するのではなく、自分自身を評価することが重要だとしています。
本書では、ADHDの困りごとを軽減する具体的な方法を「段取り力」と呼びます。すべての問題を解決できるわけではないものの、著者の感覚では生活上の困難の5〜7割程度は改善できる可能性があるとしています。そのため、一度失敗しても「自分はダメだ」と考えず、自分に合った目標を設定し、何度でも試し続けることが大切だとしています。
本書の構成は、まず「なぜうまくいかないのか」「段取り力をどう身につけるか」を扱った導入部分があり、その後、次の4章で具体的に展開されます。
- 段取り力をつけるための5つの課題
- 職場での段取り力――信用と実績につながる
- 家庭での段取り力――暮らしやすさにつながる
- 自分を励ましながら確かな段取り力を身につける
全体として、ADHDの人に「努力不足」や「能力不足」という評価を与えるのではなく、生活をうまく回すための方法そのものを学び、少しずつ身につけていくことを目的とした実践書として構成されています。