2026-10-07

『小相撲殺人事件』の冒頭では、中西警部が殺人事件の聞き込み捜査を進めるなかで、初めて「小相撲」という奇妙な賭け事の存在を知る。

被害者は、マンションで一人暮らしをしていた30歳の青西直之。定職を持たずアルバイトで生計を立てていたが、最近になって金遣いが急に荒くなり、高級レストランやクラブへ出入りする姿も目撃されていた。そのため周囲からは、収入に見合わない金回りの良さを不審に思われていた。

青西の隣室に住む倉山の証言によると、青西の部屋には同世代の男性たちが頻繁に集まり、ゲームのようなものを行っていた。そこでは「5万」「10万」といった金額が飛び交い、倉山自身も、部屋のこたつの上に大量の一万円札が積まれているのを目撃している。

倉山は違法な賭博ではないかと気づきながらも警察には通報しなかった。むしろ金に困っていたこともあり、「楽に金を稼げる方法なのではないか」と興味を持つ。青西がヤクザのような危険な人物ではなく、自分と年齢や境遇の近い人物だったこともあり、倉山は青西に接近し、やがてその集まりへ誘われる。

それは約5か月前、前年11月半ば頃のことだった。そこで行われていた賭け競技こそが「小相撲」と呼ばれるものだった。

中西警部が「小相撲とは何なのか」と尋ねると、倉山は言葉で説明するより、青西の部屋に残されている動画を見た方が早いと答える。こうして二人は、現在も現場検証が続く殺人現場へ向かうことになる。

つまり冒頭では、**「なぜアルバイターの青西が急に大金を持つようになったのか」「謎の賭博“小相撲”とは何なのか」「それが青西の殺人とどう結びつくのか」**という三つの謎が提示され、物語が本格的に動き出すところまでが描かれている。