科学的根拠に基づく最高の勉強法

目次

  • はじめに
  • Chapter 1 科学的に効果が高くない勉強法
  • Chapter 2 科学的に効果が高い勉強法
  • Chapter 3 覚えにくいものを覚える古代からの記憶術
  • Chapter 4 勉強にまつわる心・体・環境の整え方
  • おわりに
  • 参考文献

要約

はじめに

本書でいう「科学的根拠に基づく」とは、個人の経験や伝統的な方法ではなく、心理学や脳科学などの研究から得られた客観的な証拠に基づくことを意味する。

本書で扱う勉強法は、試験や資格取得だけを対象としたものではない。新しい知識を身につけたり、仕事やキャリアのために学んだりするなど、幅広い学習場面に応用できる。

そもそも「勉強する」という行為は、単に本を読む、講義を聞く、ノートを書く、問題を解くといった表面的な行動だけではない。入力した情報を頭の中でどのように処理し、保存し、必要なときに取り出すかまで含めると、その過程は非常に複雑で、人によっても大きく異なる。

しかし普段はその内部のプロセスが見えにくいため、

  • 1時間勉強した
  • 20ページ読んだ
  • 何問解いた

といった、時間・ページ数・問題数などの分かりやすい指標で勉強量を測りがちである。

その結果、同じ時間、同じ方法で勉強した後の試験結果だけを見て、「点数が高い人は頭がよく、低い人は頭が悪い」と考えてしまうこともある。

しかし重要なのは、勉強を一つの行為として扱うのではなく、その内部にある学習プロセスを細かく分解して考えることである。本書では、その各プロセスについて、何が効果的で何が効果的でないのかを科学的研究に基づいて検討していく。

著者自身も、アメリカの医師国家試験で上位1%以内に入った経験などを通して、科学的な知見を実際の勉強に取り入れてきた。その方法を紹介したYouTube動画も多く再生され、本書には著者が信頼する科学的な勉強法がまとめられている。

各章の内容

Chapter 1では、科学的研究上、比較的効果が低いとされる勉強法を扱う。

勉強時間には限りがあるため、効果の低い方法に時間を使えば、その分だけ効果の高い方法を実践する時間が減ってしまう。そのため、まず「何をやめるべきか」を理解することが重要になる。

例として、

  • 教科書や参考書をただ繰り返し読む
  • 内容をそのままノートに書き写す
  • 要点をまとめるだけで終える

といった、多くの人が行っている方法について検討する。

Chapter 2では、科学的に効果が高いと考えられている勉強法を、代表的な研究論文とともに紹介する。

単に研究結果を紹介するだけではなく、著者自身が実際の勉強でそれらをどのように利用してきたのかという具体例も示される。

本書の目的は知識を知ることではなく、読者の実際の学習行動を変えることにある。そのため、科学的に有効な方法を日常の勉強へどう取り入れるかまで考えていく。

Chapter 3では、古代から人類が発達させてきた記憶術を扱う。

現在のメモリーアスリートたちも利用している記憶技法を取り上げ、特に覚えにくい情報を効率よく、楽しく記憶する方法を紹介する。

一般的な記憶術の説明だけでなく、

  • 実際にどのように使うのか
  • 著者自身がどのように利用しているのか
  • 普通の勉強に応用するときのポイント
  • 使用する際の注意点

などについても説明する。

Chapter 4では、勉強そのものだけでなく、学習を支える心理・身体・環境を扱う。

前半ではモチベーションについて取り上げ、自己決定理論などの学術的な枠組みを使いながら、どのように学習意欲を高められるかを考える。

これらの理論は勉強だけでなく、仕事や健康など、さまざまな場面で人のモチベーションを考える際にも応用できる。

さらに、

  • 好奇心と記憶の関係
  • 学習に役立つ心理学的知見
  • 睡眠と記憶
  • 運動と学習

など、他の章には収まりにくい学習上の重要な要素も紹介する。

本書全体を通して著者が目指しているのは、学校では十分に教えられることの少ない「学び方そのもの」を、単なるテクニックとしてではなく、なぜ効果があるのかまで理解できるレベルで伝えることである。


おわりに

本書の出発点には、2020年の新型コロナウイルス流行期の経験がある。

当時アメリカで医師として働いていた著者は、多くの人が不安を抱えながら生活している状況の中で、「自分にできることはないか」と考え、自身の医学的知識を発信し始めた。

その情報発信がやがて勉強法を扱うYouTube動画へと発展し、さらに本書の執筆につながった。

本書を通して著者が伝えたいのは、長年の科学研究によって蓄積されてきた学習に関する知識を利用し、私たち自身の学び方や、人への教え方を改善していく必要があるということである。

本書では、例えば次のような知見が扱われる。

  • アクティブリコール
  • 想起練習
  • 分散学習
  • プロダクション効果
  • プロテジェ効果
  • 精緻的質問
  • 自己説明
  • インターリービング
  • 古代から伝わる記憶術
  • 好奇心と学習
  • 自己関連付け効果
  • 自己効力感
  • 睡眠・運動と学習

こうした知識を単に知るだけではなく、多くの人が実践することで、個人の学習能力だけでなく社会全体の知識や理解も深まり、より良い社会につながるのではないかと著者は考えている。


全体の要旨

本書の中心的な主張は、勉強の成果は単純な「勉強時間」だけで決まるものではなく、その時間の中でどのような認知プロセスを使ったかによって大きく変わるということである。

そのため、

「どれだけ勉強したか」ではなく、「どのように学習したか」を見る。

という視点が重要になる。

科学的研究によって効果の低い方法を減らし、効果の高い学習方法を増やす。さらに記憶術、モチベーション、好奇心、睡眠、運動なども組み合わせることで、より効率的で持続可能な学習を実現することが、本書全体のテーマである。